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#134_ 仕事で「正義」対「正義」の争いに挟まれた時の交渉術

仕事において「正義」対「悪」という構図は無い

 

最近仕事で、「どうみても正しいことをしているのに責められる」という経験をしました。

 

どのような経験かは詳しくは言えませんが、ざっくりいうと、とある「A社」の株主からの要請をうけて、そのA社に再生可能エネルギーを導入するお仕事です。

その株主は、自社の投資家に対し脱炭素宣言を行っており、その速やかな実行が経営上マスト。完全子会社であるA社にも当然再エネ導入が求められています。

親会社の要請を受けて、僕はA社向けの再エネ契約を準備したうえで、子会社に提案。

 

すると、A社の役員・社員から大反対。
理由は「電気代が若干高くなること」「新電力は信用ができない」というこの2点。親会社の要請に基づくものであることを説明しても、あの手この手で出来ない理由をぶつけられます。

 

新電力に切り替えても電気が止まるリスクはないし、再エネを導入しないといけない合理的理由を説いても、「否」

 

僕は、彼らが「安ければ電力なんて石炭火力でもなんでもいい」「将来の地球温暖化など自分たちには関係ない」と言っているようで、まるで「悪」の秘密結社のよう。即、親会社に報告。A社への働きかけをお願いしました。

 

その後、数週間経過し、親会社に連絡。A社には協力するように伝えたと聞き、早速A社に再依頼。

結果、大反対

 

僕はさじを投げたい気分ではありましたが、ここはぐっと我慢して、A社の反対理由を聞きました。何度も何度も話をしました。

 

話を聞くにつれ徐々に先方との間合いが詰まってきて、ふとした時に本音が。

本当の理由は、A社が保有する建物に入居している外部テナントとの難しい関係があることが分かりました。(これ以上は言えません!)

 

つまり、A社にはA社なりの「正義」があったわけですね。

仕事でも私生活でもそうですが、物事には裏表がありあす。

 

表同士では、「正義」対「悪」であっても、一方が表の事情で一方が裏の事情であった場合、「正義」対「正義」の構図が成り立つ。いや、どんなときでも結局「正義」対「正義」が成り立っているとも言えます。

 

最近ネットやSNS界隈では、常に「正義」対「正義」の争いで炎上していることを見ても明らかです。

相手が「悪」だと思い込んで攻撃してしまうわけです。

 

でも、大体が「正義」対「正義」なので、解決の糸口が見えません。

 

このような状態になった場合の解決方法は、極めて日本人的ですが、「間に落とす」こと。具体的には、対立する両者の「絶対譲れないことろ」と「譲ってもいいところ」を箇条書きにします。イメージ10個くらい。

 

どんな主張でも、「譲ってもいいところ」は必ずあります。それをバーターで相手に差し出し、お互いが「絶対譲れないところ」を死守するという交渉術です。

 

初めは、0が100かだったお互いの気持ちを、できるかぎり50対50に持っていくスタンスですね。ただ、これは時間がかかりますし、間を取り持つ人には忍耐が求められます。

さらにこのリモート前提の、乾いたコミュニケーション環境下ではさらに時間がかかります。

それでも我慢強く続けること。

 

人間だれでも現状の心地よい環境から出たくないという「現状維持バイアス」が働いています。現状維持は「正義」の一つですので、変化すること自体を「悪」と感じている人もいます。

 

でも「現状維持」は「将来退化」を意味することは、誰もが気付いています。

なので、主張を因数分解すると「変化しても別にいい」ところは必ず見つかります。

 

そこを時間をかけて、変化させる。こういう調整人の役割は結構大きいですね。

物事は、0か1かのデジタルな世界ではなく、けっこうウェットな側面もあります。

 

これを読んでいる方で、「正義」対「正義」に挟まれて動けなくなっている方の参考になれば幸いです。

では!

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